The 10th Anniversary Special Contents

大切なのはみんながいっしょに楽しめること。

中川ひろたか/
絵本作家、シンガーソングライター

2015.07.31 UP

逗子在住の人気絵本作家、シンガーソングライターの中川ひろたか氏にお話を伺いました。作曲を手がけた『世界中のこどもたちが』や『にじ』は、特に若い子育て世代にとっては家族で一緒に歌える定番ソング。執筆、講演やコンサートだけでなく、近年では「だじゃれ」や「あそびうた」の普及にも注力され、そのユニークな活躍にはますます注目が集まっています。逗子市文化プラザホール開館以来、度々ホール舞台にもご登場いただいており、記憶の新しいところでは3月8日に午前と午後の計2回、ご自身がリーダーを務めるジャズ・バンド‘中川ひろたか&モダンギャグカルテット’でなぎさホールを沸かせてくださいました。

逗子にお住まいでいらっしゃいます。

中川氏:もう逗子に住んで25年くらいかな。山の根に5年くらいいて、今の自宅には20年だから。(2人いるうちの)下の子どもが小学校にあがるタイミングを見計らって引っ越ししてきて、それからずっと逗子。逗子に来るきっかけというのは、‘トラや帽子店’というバンドをやっていて、このバンドを気に入ってくださっていた詩人の工藤直子さんが逗子にお住まいで、バンドの連中を自宅に招待してくださったんだけれど、一晩泊まって、翌朝は逗子の海へ行って磯遊びなんかしてね、で、「うわっ、いいところだな」って。当時自分の住んでいた場所に、あまり住み続ける理由もなくって、同時に「人は住みたいところに住んでいいんだよな」なんて思いもあって。今朝、久しぶりに披露山の辺りを散歩してきたし、自宅からも見える海には、知らないうちに癒されているかな。穏やかだけではなくて、荒れることもある(風はスゴい!)、そんな厳しい面も含めて。あと、逗子は「東京に一番近いリゾート地」って思ってる。出身は埼玉だけれど、子どものころは海って言うと千葉の方ではなく、こっちの方のイメージだったし。

3月の逗子公演は拍手が鳴りやまず、ダブル・アンコールになりました。

中川氏:逗子文化プラザホールも、できてから何回か来てるんだけど、それぞれ細かくはちょっと憶えてない…かな(笑)。3月も賑やかだった。「ジャズ」は、言ってみれば、子どもたちにとってはちょっと敷居が高い音楽かもしれない。でも、知ってる歌が、ジャズだとこういうアレンジになるんだ、こういう楽器だとこういう音がするんだ、って色々違うサウンドで聞こえてくるわけで、そういうところがジャズへの入り口になって、面白いよね。もちろん大人は子どもと一緒に楽しめる。

この10年、子どもたちに何か変化を感じますか。

中川氏:うーん…、そんないつもいつも触れ合ってるわけじゃないから、偉そうなことは言えないかもしれないけれど、もしかしたら(時代とともに)変わった、って言われることもあるかもしれないけれど、自分は、そんな全然そんな気がしないんだよね。みんな変わらず、ピュアで。時々、ものすごく特別な事例を持ち上げちゃって、それが全部みたいに言われることがあるじゃない? でも、ちょっと大袈裟なんじゃないかな。僕が知ってる子どもたちはみんな、普通に面白いし、普通に笑ってるし、普通にふざけるし…。子どもはみんなかわいい。自分は絵本を書いたり、歌を作ったりするわけだれど、今60歳の自分が、子どもたちにも歌えるように、子どもたちにもウケるように、って作品を生み出している。それは、今の子どもたちを見て創作しているわけじゃなくって、自分の中の子どもの部分とか、自分は子どもの頃こうだったとか、その感覚みたいなところで作っている。それは60年前の自分と今の子どもたちと共通するところがあると信じているから、作れるわけだよ。もし今の子どもが全然変わっちゃったって言うんじゃ、作れないよね。作れたにしても、それが届くとは思えない。だからそれはすごく信じてるところがある。子どもって変わらない。例えばヨーロッパの子どもでも、アフリカの子どもでも。

今後の活動について。

中川氏:歌をつくって歌う。絵本(テキスト)を作る。最近‘ケロポンズ’(ケロこと増田裕子とポンこと平田明子のデュオ。多彩な親子向けステージで大好評を博している)とアルバムを作ったけれど、ケロポンズを逗子の人達に見せたいなぁ。面白いから! あと、今年の春に初めて自分ひとりで作絵をした絵本『あいうえほん』がある。ひらがなとカタカナが一緒に学べる、ありそうでなかった絵本をどうぞ!

中川さんの伝えたいこと。

中川氏:基本は、「いっしょ」っていうことかな。みんな今この世に一緒に暮らしている。大人も子どもも、赤ちゃんもおじいちゃんもおばあちゃんも。同じ場所で、同じ空気を吸って。一緒にコンサートを観た後に、ご飯を食べながら、「今日中川のおじさん面白かったね」「お母さんはあの人昔から知ってるのよ! 楽しかったでしょ?」ってそんな会話になったら、そういうのがいいじゃない? 60歳の人の歌を3歳の子どもが喜ぶってさ、素敵なことじゃない? この年の差! でも大人と子どもを分けないこと。座るのも、子どもは前の方、みたいにしないで一緒に観るのがいいよね。いつも笑った顔なんか見たことないお父さんが、ちょっとしたギャグを聞いて「ククッ」と笑ったりなんかして、「あ、お父さんここで笑うんだ!」ってことを子どもにそばで見てほしいじゃない? お母さんが子どもそっちのけで手拍子してるところなんか。そういう時間を増やしたいし、増やして欲しい。あとね、カロムゲーム(ビリヤードの原型とも言われる、おはじきボードゲーム)ってのを、それを普及する会の会長のようなことをやっていて。これは、大人と子どもが一緒に戦えるんだけれど、なかなかそういうのってないじゃない? 大人がスコン!と子どもに負けるから。他に大人と子どもが対等なのって、じゃんけんぐらいしかないんじゃないかな…。だじゃれの会も、大人と子どもが対等になる。やっぱり僕はそういうのが好きなんだろうな。

(聞き手:逗子文化プラザホール)

中川ひろたか

中川ひろたか

1954年、埼玉県出身。保父として「千早子どもの家保育園」に5年間勤務。その後、みんなのバンド‘トラや帽子店’を結成。リーダーとして活躍。95年『さつまのおいも』(童心社)で絵本作家デビュー。『わにのスワニー』(講談社)が児童福祉文化賞推薦作品となり、『ないた』(金の星社)で日本絵本大賞を受賞。代表曲には《おーいかばくん》《みんなともだち》《世界中のこどもたちが》《にじ》《ともだちになるために》など。2007年8月にはTBS「情熱大陸」に出演。08年、劇団‘おともだち’を旗揚げ。ミュージカル《みんなともだち》を各地で上演。ほかにD1だじゃれグランプリ、A1あそびうたグランプリを主宰。2015年4月に自身初の作絵絵本『あいうえほん』(ソングブックカフェ)を出版。

中川ひろたか 公式サイト
http://www.songbookcafe.com/

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