★イベントレポート「平田耕治TANGO WORKS」2015年12月5日開催

レポート公開版2015年度から活動を開始した当ホールの情報発信ボランティアによるレポートです。イベントの雰囲気や感想を発信する活動をしています。

師走、少し風が冷たい。逗子にタンゴがやってきた。
12月5日 逗子文化プラザさざなみホール。「平田耕治 TANGO WORKS」の公演だ。
 14時、薄青い照明の中に平田耕治氏が現れた。
手にはアコーディオンのような四角い楽器、バンドネオン。
 ネオンといっても、夜の街を彩る看板のように電飾されたものではない。
19世紀前半のドイツで発祥したアコーディオンの改良品。鍵盤はなくボタンが蛇腹の両側に並んでいる。力強さがあり、甘さもある不思議な音色に魅了される。
ステージには、ピアノ須藤信一郎氏とヴァイオリン鈴木慶子氏が加わった。
はじめは、3つの楽器が自分の個性を強く主張するように聴こえたが、バンドネオンがその拡がりのある包容力で音色を調和して、演奏が耳に心地よい。
これがクラッシック・タンゴという領域の作品を生みだしているのではないだろうか。
 平田耕治氏は、地元の逗子開成学園中学1年生の時にバンドネオンを始めたそうだ。楽器の不規則な位置にあるボタンを押して演奏するのは難しそうだが。
同氏の手は魔法のように軽妙な動きだ。
照明が薄赤くなると、佐藤利幸氏と西川未記氏が演奏にのりタンゴ・ダンスのパフォーマンスをみせてくれる。社交ダンスというより、競技ダンスに近い力強さと、しなやかさだ。ステージの激しい鼓動が客席に伝わってくるようで迫力がある。
 地球で、逗子の裏側は南米アルゼンチンになるのだろうか。きっと情熱的なタンゴのリズムが渦巻いていることだろう。
 アンコール曲はかつてNHK紅白歌合戦で歌われた「ラ・クンパルシータ」で会場を盛り上げてくれる。
公演が終わり、ホールの外に出るとコートを着るのも忘れる。私の体にタンゴの「情熱」が入り込んだようだ。
 
情報発信ボランティア  海原 弘之