イベントレポート 「山田姉妹ソプラノデュオコンサート~筑前琵琶の音色とともに~」2023年2月4日(土)開催

ホール主催の催しの感想や雰囲気をみなさまに発信する活動をしている“情報発信ボランティアライター”の方によるレポートをお届けいたします

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 春の訪れを感じさせる2月初旬土曜日の昼下がり、なぎさホールに足を運ぶ。逗子市の広報大使も務める山田姉妹のソプラノデュオコンサートだ。
 今回は、ピアノ伴奏の内門卓也氏だけではなく、筑前琵琶奏者の藤髙りえ子氏も加わり豪華メンバーの音楽会だ。山田姉妹と藤髙氏は共に逗子出身という事で、まさに地産地消の音楽会。それだけに観客席は満員に近い。開演を楽しみに待つ観客の熱量を感じる。
 最初の3曲、”若葉のころ”、”いのちの名前”、”春の風”は、いずれも初春に合った曲で優しく、暖かさを感じさせる。優しく艶のある歌声だけではなく、季節感をうまく演出する照明によって聴く者の受け取り方は随分と変わるものだと思う。そこがコンサートの醍醐味だ。
 “荒城の月”、”埴生の宿”の唱歌2曲は、藤髙氏の筑前琵琶も加わって秋の郷愁を感じさせた。華やかな歌唱力に和楽器の音色が加わり味わい深い。
 筑前琵琶の演奏を目の前で聴くのは初めてだが、三線と音色は似ているが三線よりも落ち着いた感じだ。知らなかったが、楽器の琵琶と果物の琵琶では、楽器の方が先にあって果物の琵琶は後で名付けられたそうだ。
 今回のソプラノデュオと筑前琵琶とのコラボレーションは2曲だけだったが、次回はもっと他のレパートリーも是非聴いてみたい。唱歌以外に、このコラボレーションコンサートにどんな曲がふさわしいか考えてみよう。
 “ウィーン、わが夢の街”では、二人の衣装はまるで舞踏会の出立ち。そうかと思えば次の曲はドヴォルザークの”家路”で、一気にボヘミアの秋に一飛び!変幻自在でダイナミックなプログラム構成は面白い。次に何が起こるかわからないワクワク感がたまらない。
 予想どおりにアンコール曲も充実していた。逗子に住んでいる喜びを歌った“この街で”。地元愛が優しく表現されていて、地産地消の音楽会のトリにふさわしかった。お客さんの顔には満足感が漂っていた。

ボランティアライター 福岡伸行

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 逗子出身の双子の姉妹のソプラノデュオがいる、ということはなんとなく聞き及んでいたけれど、実際にコンサートを聴くのは初めて。それが筑前琵琶とコラボレーション?どんな展開になるのか、興味津々で出かけてみた。いつも通りぎりぎりに会場に入ると、あっと驚くほどの人、ほとんど満席で実に活気がある。中段の座席について見渡して驚いたのは、何やら後ろ頭が皆、かなり高齢者が多い感じ。しかもかなり男性が多い?上を振り返るとやはり同じ構成。これもまた珍しい。開演のベルが鳴り、照明が暗くなった。
 暗い中を白いドレスの女性が二人、舞台へ進み出た、と、まだライトがつく前から会場は割れるような拍手。こんなのは見たことがない。一曲目は「若葉のころ」。さすが姉妹の声はよく合ったデュオだ。しかし、ソプラノ、と聞いていたがマイクを持って歌っている。これも珍しい。軽妙でチャーミングなおしゃべりで山田姉妹が語り掛けると、会場中がとても暖かい雰囲気で応答している感じがする。逗子を懐かしく大切に思っている姉妹を、まるで自分の孫のお友達が大きくなって演奏会をやっているのを見に来ているような感じだ。うれしくて、かわいくてしょうがない、という感じ。言葉の一つ一つ、歌の一つ一つに聴衆がものすごく集中しているのを感じる。
 続いて今回はやはり逗子出身の筑前琵琶奏者、藤髙氏とのコラボレーションということで「荒城の月」、そして藤髙氏のみで「祇園精舎」を演奏。琵琶についての解説など姉妹とのやり取りがあったあと、再び姉妹の歌。プログラム前半はすべてマイクを使っているのだが、琵琶の音など堪能できたか、というと疑問が残る。弦と声楽とピアノでもう少し音の調整をすれば良かったと感じた。
 休憩をはさんで迎えた後半のプログラムはよかった。衣装を変えた華やかな姉妹が、マイクなしで「ウィーン、わが夢の街」からスタート。クラシックらしいソプラノの声を聴き、会場は大いに沸く。フィナーレに向けて歌った「家路」は、逆にうまくマイクを使うことで効果が出て好演奏に仕上がっていた。
 琵琶とのコラボレーションの意味があまり伝わらず、そこが少し残念な構成ではあったが、全体に家庭的で歌い手とファンの暖かい交流が心地よい会だった。

ボランティアライター 不破理江

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