イベントレポート 「和太鼓グループ彩 -sai- 逗子公演 Vol.4 海も踊りだす漢達の祭!」2023年1月21日(土)開催

ホール主催の催しの感想や雰囲気をみなさまに発信する活動をしている“情報発信ボランティアライター”の方によるレポートをお届けいたします

*************************************************

 30台もの和太鼓を、30人もの漢(おとこ)たちが、渾身の力を込めて同時に打ち込み続けたクライマックスの数分間、なぎさホールは爆音の坩堝(るつぼ)と化し、私の鼓膜は破裂するほどに震え、私の心臓の鼓動は胸骨を突き破るほどに高鳴り、恐怖と紙一重の感動と興奮が沸き起こる瞬間があった。公演後半の6曲目「三十心不乱」というタイトルの演目である。
 「和太鼓グループ彩 -sai-」のメンバー6人と、「和太鼓グループ彩 -sai- WiNGS」という学生中心のメンバー11人のプロ集団に、「逗子開成高等学校 和太鼓部」の13人が加わった計30人が、文字通り一体化して一糸乱れず繰り広げた太鼓の競演。改めて打楽器が叩き出すビートの奔流は、こんなにも血沸き肉躍るものかと、痛感させられた。
 和太鼓の演奏といえば、半纏に股引、腹掛に足袋、頭には白鉢巻といった装いで、険しい表情をした男たちが、どすのきいた掛け声を上げながら、ひたすらストイックにバチで叩き続けるというイメージがあった。背景には、日本海の荒波が、岩壁に浪しぶきを砕け散らすといった荒ぶる情景が頭に浮かび…。
 「和太鼓グループ彩 -sai-」のメンバーは、皆、元気で陽気な兄ちゃんたちである。衣装もカラフル。最近のよさこい祭りやエイサーなどでみられるアレである。太鼓も、据え置きの大太鼓や長胴太鼓だけでなく、かつぎ桶太鼓を肩から担ぎ、縦横無尽に飛び跳ね、踊り回りながら、にぎやかに乱れ打つ。満面の笑顔と白い歯を見せながら、しかし力のこもったバチさばき。緩めることなく叩き続ける。尋常でない運動量である。挟み込む掛け声は“あっ、ソーレ!” “エー、わっしょい!”“ええじゃないかっ!”etc.演目も『今宵叩けよゴキゲン道中』『まつりだ、まつりだ、おまつりだ~‼』『びばっ!ええじゃないかっ!』『祭宴』…である。そう、横笛や団扇太鼓、鐘を交えた彼らの演奏は、祭り(フェスティバル!)そのものなのである。
 客演として招かれた「逗子開成高等学校 和太鼓部」の皆さんは、単独で『砕波』『疾風迅雷』の2曲を披露してくれた。彼らは、白黒モノトーンの衣装で、実に高校生らしく、まっすぐにてらいなく据え置きの太鼓を叩き続けた。『砕波』では、小さく、大きく、抑揚をつけて波を表現した。掛け声を上げる姿に、実に「青春」を感じた。
 日本海の荒波でなく、逗子海岸のさざなみをバックに「海も踊りだす漢達の祭り!」はド派手に幕を下ろした。

ボランティアライター 三浦俊哉

*************************************************

 

一覧へ戻る