イベントレポート 「さざなみ亭落語会 三遊亭わん丈&みんなで創る落語会 其の六」2023年1月14日(土)開催

ホール主催の催しの感想や雰囲気をみなさまに発信する活動をしている“情報発信ボランティアライター”の方によるレポートをお届けいたします

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 わん丈さんの“みんなで創る落語会”も6回目を迎えました。今日も観客席には小学生たちがチラホラ見られます。
 前座の柳家しろ八さんの『たけのこ』の後、わん丈さんの演目の一番目は、毎年恒例、5つの噺から事前投票してもらい、一番多かったものを話していただくという趣向。しろ八さんが演目を書いた紙を開くと――『匙加減』。色男の医者が、自分のせいで病気になった芸者のおなみを、一生懸命看病して治した後、職場復帰させたい置屋と争った結果、大岡裁きのおかげで晴れて身請けをするというストーリー。薬代がポイントだっただけに、さげは「おなみさん、身請けが決まって、久しぶりに笑った…くすり」。わん丈さん、堂々たる越前守のさばきっぷりが、お見事でした。
 次に、一昨年亡くなった圓丈師匠が着ていた羽織をまとって、師匠譲りの実験落語『もふもふ』を披露――しろ八さん、わん丈さんが落語会の打ち上げに、“葬儀場のコンセプトキャバクラ”「もふもふ(喪婦?)」へ突入。キャバ嬢のイム(仏?)の亡くなったお父さんとの思い出の歌、X JAPAN『TEARS』を熱唱。果ては圓丈師匠のおかみさんが“チイ喪主”として登場。「ここで働くようになってから、みんなに艶っぽくなった(通夜っぽくなった)と言われるの、ふふふ」だって。
 続いて、本日のメイン、“みんなで創る落語コーナー”。入場時に観客に募ったお題が25題。出題者が皆でじゃんけんぽん。勝ち残った3つのお題を織り込んだ創作落語を、15分の休憩中に創って発表するという離れ業。選ばれたのは「どうすりゃいいの?」「SDGs」「座布団」――近未来、コンビニに行くのは、「セルフレジ」が「できる」「じいさん」(=「SDGs」)ばかり。働き手もおじいさん。棚から煙草を取ろうにも肩が上がらず、「座布団」を重ねて取る始末。あげくに、強盗もおじいさん。「手を上げろ!」と脅されても、上げたくても上がらない。で、「どうすりゃいいの?」。おじいさんの声音も、仕草もなりきっていて、うまいなあと感激しました。
 最後のお土産は、古典『幾代餅』。真面目な職人が、一目惚れした花魁「幾代太夫」と、まわりの人の力を借りつつ、一緒になるという人情噺。最後は二人で餅屋をやろうと持ちかけ、餅だけに、幾代「ついてまいります」。花魁の色っぽさも十分に醸して、お見事でした。真打も近いですね。
 一か月ぶりのおしめりとなった雨模様の当日、心にも笑いの潤いをいただきました。

ボランティアライター 三浦俊哉

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