イベントレポート 「和太鼓グループ彩 -sai- 逗子公演 Vol.5 和太鼓彩プロ化10周年記念プロジェクト 第三弾 渚Brilliance」2024年1月20日(土)開催

ホール主催の催しの感想や雰囲気をみなさまに発信する活動をしている“情報発信ボランティアライター”の方によるレポートをお届けいたします

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 始まるやいなや、会場から手拍子が起こる。無国籍風で色とりどりの衣装をまとった和太鼓グループ彩 -sai-のメンバーたちが観客席の後ろから登場し、ステージへ。和太鼓グループ彩 -sai- 5名、和太鼓グループ彩 -sai- WiNGS(和太鼓彩に所属する学生主体のチーム)11名。男性ばかりの和太鼓パフォーマンスのスタートだ!
 和太鼓にはいろいろな種類がある。大小、丈、厚さ、形等々。肩からさげるタイプ、ステージに置いて立って、あるいは座って叩くもの。舞台中央には、客席に背を向けて立ったまま叩く1つの大きな和太鼓が据えられている。
 和太鼓、笛、演奏者たちによるかけ声。賑やかで威勢が良く、エネルギッシュで迫力満点の演奏が続いていく。リズムは無限だ!メンバーたちの顔が明るくて楽し気なのが印象的。
 第1部6曲目の《Bulerias》で趣を変え、3曲続けてフラメンコギター(東川翼氏)の登場。異色のコラボレーションだが、よく合っている。特に《風の神送り》は和太鼓、篠笛、フラメンコギターがうまく調和し、それぞれが主役となる演奏だった。
 和太鼓でよくこれだけの音楽が創れるものだと感心した。幾種類もの和太鼓、リズムの緩急、音の強弱、叩き方。笛を交えて、様々な楽曲を聴かせてくれた。相当な練習を積んだことだろう。かなり体力を消耗すると思うが、全身を使うようにして叩く姿に疲れは見えない。
 休憩を挟んで、第2部では逗子開成高等学校和太鼓部(14名)が、和太鼓彩とコラボレーションをしたり、単独演奏をしたりで4曲を披露。高校生たちのエネルギーは天井知らずの盛り上がり。彼らは満員の観客の前で楽しんでいるのか、緊張しているのか・・・。10代の頃、何かに打ち込むのは得難い経験。2度とない季節。コラボ2曲目の《澪》は地の底から這い上がってくるような迫力ある乱れ打ち。お見事!
 和太鼓彩単独のラスト《駆け抜ける空》は荘厳さと激しさの入り交じった重厚な曲と演奏。和太鼓と笛が揃って最後をしっかりと締めくくった。
 国内外でつらい事が続いている。パワーあふれる和太鼓は悲しみを乗り越えて前へ進もうという応援のようにも聴こえた。

ボランティアライター 青栁有美

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 久しぶりの“彩”。5年前の公演の記憶は鮮明だ。ステージと客席が一丸となって駆け抜けた2時間。完全に巻き込まれた。
 午後2時、客席が暗くなり幕が開く。太鼓だけが置かれた明るいステージ。左右から彼等が登場するのを待つ。
 !いきなり後ろからの響き。のっけから為て遣られた。いつのまにか後方にいたメンバーが通路を下りながら舞台へと向かっていく。通路寄りの席だったので、間近に笛の音を聞き、綺麗な衣装を目の当たりにした。前回、もっと近くで見たいと思った衣装だ。鶴の衣装が目の前を通り過ぎていく。
 いきなりエンジンがかかるこの感じ!気分は0-100km/h加速1秒の立ち上がりだ。
 2曲目《魁》の途中、座面から振動が伝わってきた。
 聴衆の様子を見ても、手拍子で楽しんだり、じっと食い入るように聴き入ったり、ステージのメリハリを鏡映しにしていた。篠笛やチャッパの演出もあったが、やはり太鼓が好きだ。《暴れ天狗》はまさに聴きたかった太鼓そのものだ。また、担ぎ桶太鼓の両面打ちや、横一列に並べた太鼓の、正面の太鼓と左右の太鼓を打ち合うアンサンブルのようなパフォーマンスは観て良し聴いて良し。
 和太鼓グループ彩 -sai- WiNGSの演奏も、楽しくて仕方ないという風に見える。耳で捉える音以外に、目で捉える音があって、楽しい表情が揃っていることでさらに楽しいが響き渡る。
 今年も逗子開成高校和太鼓部の皆さんとのコラボレーション公演だ。それから、逗子出身のフラメンコギタリスト・東川翼さんが出演した。そして、プログラムには《渚》《さざなみ》という2曲があり、逗子での公演を大切に思ってくれている気がして嬉しくなった。(逗子文化プラザホールには、なぎさホールとさざなみホールがある。なんて粋な計らいだろう。)
 ラスト7分《駆け抜ける空》は、昨年ここで初演された曲らしい。篠笛の悲しげな長い響きに対して、どんと太い太鼓が響くと、魂とか火の玉のようなものが、闇夜に高く昇り消えて行ったかと思いきや、ドンと地上に降り戻ってきたようなイメージが湧いた。
 今年もトップスピードのまま駆け抜けた。ありがとう、彩\(^O^)/
 なぜ“彩”というグループ名なのだろう。とおもったら、その答えが公式ホームページ(※)にあった。“彩”愛が加速するお話が満載なのでぜひ覗いて欲しい。(※ https://wadaiko-sai.com/archives/history/180920
 いつまでも変わらない“彩”でいて欲しいような、また違う“彩”を見てみたいような、そんな我が儘な気持ちで再会を楽しみにしている。

ボランティアライター 深谷香

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