イベントレポート 「華麗なる双子 山田姉妹ソプラノデュオコンサート ふたりで紡ぐ、やすらぎのハーモニー ~逗子のころ~ withなぎさ合唱団」2024年2月10日(土)開催

ホール主催の催しの感想や雰囲気をみなさまに発信する活動をしている“情報発信ボランティアライター”の方によるレポートをお届けいたします

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 毎年恒例となった、“逗子市広報大使”のソプラノデュオ、山田姉妹による逗子限定スペシャルコンサートです。落ち着いた雰囲気の姉の華さん、笑顔を絶やさない妹の麗さん、そしてピアノの内門卓也さんが、今年もやって来てくれました。今回の趣向は、本公演だけのために結成された、アマチュア混声合唱団「なぎさ合唱団」との共演です。会場は、山田姉妹のファンや、“娘たち”の凱旋を祝う“自称逗子の父母、祖父母たち”などで、ほぼ満席でした。
 前半は、懐かしい日本の歌の数々です。《野に咲く花のように》で客席後方からにこやかに登場した二人。《心の瞳》《あの素晴らしい愛をもう一度》といった定番の合唱曲や、国民的名曲《あなた》を、包み込むような優しい声で歌い上げました。途中から登場した「なぎさ合唱団」は、小学5年生から80代の人生のベテランまで、総勢22名の多世代混声。《翼をください》《この街で》など、計3曲に参加。山田姉妹のバックで、調和のとれたコーラスを披露してくれました。緊張している様子も見受けられましたが、2回しか稽古をしていないとは思えないほどのまとまりでした。退場時に堂々と舞台を歩く姿が、とても印象に残りました。
 後半は一転して、有名オペラのアリアの数々。ゴージャスなステージドレスに装いを変え、声楽科出身の真骨頂で、マイクなしの歌唱です。幕開けは、シュトラウス2世のワルツ《春の声》を高らかに。歌の合間に、妹の麗さんが、驚異の4オクターブの音域を披露。客席の後方に座っていましたが、圧倒的な声量、高音の広がりに驚きました。続いて、CMでもよく流れるプッチーニ《私のお父さん》を、アリアではなく、息の合った2重唱で、しっとりと。次に華さんがソロでドニゼッティ《この心の光》を、オペラ独特の声を細かく早く出す技法アジリタを交えて歌えば、麗さんはバーンスタインの《煌びやかに着飾って》で続きます。笑顔から一転して声も顔も険しい表情になりながら、寸劇を交え、芸達者な熱唱を魅せてくれました。フィナーレは《ウィーン、わが夢の街》。歌詞の「私の心はいつもこの街に」は、愛する故郷、逗子に捧げるメッセージだそう。
 アンコールは、会場の皆で《今日の日はさようなら》を合唱。そして由紀さおり・安田祥子姉妹のような表現力で《トルコ行進曲》を。オーラスは、ミュージカル『マイ・フェア・レディ』から、楽しい楽しい《踊り明かそう》。元気で明るい山田姉妹にピッタリなエンディングで、私も浮き浮きした気分で家路につきました。

ボランティアライター 三浦俊哉

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 コンサートのオープニング・シーンで、逗子文化プラザなぎさホール客席の後ろから、女性の声が聴こえてきた。振り向くと、山田姉妹(姉の華さん、妹の麗さん)がシックなドレスでピアニスト・内門卓也氏の演奏に合わせて、歌いながらステージを目指して客席の中を歩いて登場した。
 プログラム最初の曲『野に咲く花のように』(小林亜星 作詞/杉山正美 作曲)。曲本来の思いではないだろうが、私には山田姉妹が明るく歌う詞に被災された北陸の人々への応援メッセージを感じた。
 ♪時には つらい人生も 雨のちくもりで また晴れる~♪のフレーズなど。
 続けて、日ごろ聴きなれた曲を二人で醸し出す“心地よいハイトーン&ハーモニー”で観客を魅了していた。
 童謡メドレーは、高峰秀子主演映画「二十四の瞳」の挿入歌とも相似した感じを受け、懐かしさとともに、今世界が戦火などで分断の危機にある中から平和な世界を取り戻す呼びかけの歌声にも思えた。
 今回のコンサートはソプラノデュオ山田姉妹が生まれた地元逗子ならではの演出として「なぎさ合唱団」とのコラボレーション合唱があった。同団は本日のコンサートのためだけに結成されたもの。「歌好き!合唱好き!山田姉妹好き!」の人たち22名。小学校5年生から80代までの多世代混声合唱団だ。コラボレーションした3曲は『翼をください』『Starry Heart ~輝く心~』『この街で』。みんな素敵な歌声を響かせた。コラボレーションの3曲目『この街で』(新井満 作詞/三宮真由子 作曲)では、逗子に生まれ、育って良かったという私のイメージとも楽しく共感させてくれた。
 ♪この街で いつか おばあちゃんに なりたい おじいちゃんに なったあなたと 歩いて ゆきたい~♪
 休憩を挟んでの第2部では、クラッシックのなかでも山田姉妹の本領であるオペラの名曲たちをふたりで紡ぎ、春を迎えた喜びを表現するように、のびやかに客席に届けてくれる。耳で聴くというより全身の肌が心地よく感じる美声だ。山田姉妹はマイクを使わず歌う、満員のなぎさホールの空気全部が自然に美しく振動して、今いる、なぎさホールがヨーロッパの古都に飛んで行ったような感覚になる。
 アンコールは『トルコ行進曲』他をオペラ風にアレンジした歌声で観客の心を浮き立たせてくれる。最後は客席と山田姉妹が一体になって『今日の日はさようなら』を合唱して終演した。
 2017年2月にデビューした山田姉妹、今年で丸7年。2018年より逗子市広報大使を務めている。今年の4月21日には、逗子文化プラザなぎさホールで他の広報大使の方たちとトークシヨーなどもあるそうだ。(逗子市は今年の4月15日に市制70周年迎える)

ボランティアライター 海原弘之

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