ホール主催の催しの感想や雰囲気をみなさまに発信する活動をしている“情報発信ボランティアライター”の方によるレポートをお届けいたします。
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これほど美しく歌われた童謡を聴いたことがない。『日本のイベントメドレー』と題して、『うれしいひなまつり』『こいのぼり』『ほたるこい』『お正月』他全8曲を歌いきった。日本の伝統的な四季折々の風景を丁寧に表現。テクニックを駆使した2人のハーモニーが観客を魅了した。『故郷』『浜辺の歌』も同様で、古き良き日本の歌が、双子のソプラノデュオ山田姉妹(姉:華(はな)氏、妹:麗(れい)氏)の真骨頂とも言えるのではないだろうか。
とはいえ、聴きどころはまだまだたくさん。白にピンクを合わせたお揃いのワンピース姿で前半に披露してくれた歌はどれも見事だった。昭和に活躍した同じく双子の姉妹、ザ・ピーナッツの『恋のバカンス』。女性デュオ、ベッツィ&クリスの『白い色は恋人の色』。芯があって強さを感じさせるソプラノ。異なる声質は魅力的にマッチし、違うメロディーを重ねて歌うとそれが一層引き立った。小坂明子氏が2人のために作ったオリジナル曲『Starry Heart ~輝く心~』。歌前のトークで2人がお母さんであることが明かされた。歌詞が我が子の成長と幸せな未来を願うような内容で、透明感のある歌声とスケールの大きな曲調が相まって、母である2人の思いが伝わってきて、涙腺が緩んだ。
後半はオペラや歌曲。それぞれ華やかなドレス姿で登場した2人は、数々の名曲に挑戦。『薔薇』、『歌劇「夢遊病の女」より“気も晴れ晴れと”』(華氏・ソロ)、『歌劇「ホフマン物語」より“オランピアの歌”』(麗氏・ソロ)、『歌劇「ロミオとジュリエット」より“私は夢に生きたい”』他全6曲。共に音大の声楽科で培ったソプラノで、音程が上がったり下がったりするオペラのメロディーを巧みに歌いこなし、表現も良かった。
逗子市市制70周年記念事業であり、逗子市広報大使でもある山田姉妹の本コンサートの観客席には桐ヶ谷市長の姿も。明るくて春の訪れにふさわしい2時間だった。ピアノ伴奏の内門卓也氏にも感謝したい。
山田姉妹のコンサートを初めて聴いたのは3年前。本日は2度目だが、前回と比べて格段にレベルアップしていると感じた。活躍の場も広がっているようで、今後も2人から目が離せない。
ボランティアライター 青栁有美
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