ホール主催の催しの感想や雰囲気をみなさまに発信する活動をしている“情報発信ボランティアライター”の方によるレポートをお届けいたします。
********************************************
会場に入ろうとすると、かわいらしい歩みのお子さまを見かけ、そばで見守る親御さんに月齢を伺うと、一歳を迎えられたとのこと。0歳から入場できて、途中の入退場も自由なコンサートなのだが、客席は予想以上に“お膝に抱っこ”率が高い。開演ギリギリに急に席が埋まっていく。見まわせば大人同士での来場者も少なくない。
出演は中川ひろたかさん(シンガーソング絵本ライター)と、gaagaaS(ガーガーズ:うたあそびユニット)の、まつむらしんごさん(ヴォーカル・ギター)と別府のどかさん(ヴォーカル・キーボード)。そしてゲストに後藤郁夫さん(ギター)を迎える。
今年は逗子文化プラザホールが開館20周年とのことで、中川さんが「《ハッピー・バースデイ》を歌おうか」と呼びかけ、みんなで20周年をお祝いしてスタートした。
あそびうた《なんじゃもんじゃにんじゃ》では、みんな席から立ち上がって跳んだりはねたり。ステージから放たれる「しゅりけん」をよけた(もちろん投げるふり、よけるふりです)。
あそびうたを絵本にした《ひっつきもっつき》がはじまると、会場は子ども向けTV番組の公開収録さながら。みなさん、いつも歌って踊っているかのように慣れたようす。
中川さんのトークは、ときおり大人世代向きで、しんごさんがドラムを叩きながらThe Beatlesの《Act Naturally》を歌う場面では、The Beatlesの「リンゴ・スター(ドラム)」にかけて「しんご・スター!」と紹介した。
70分間のコンサートに14演目が収められた。内容も歌にダンスに体操に絵本の読み聞かせにと、盛りだくさんだった。終盤にさしかかると、中川さんと後藤さんが《はじめの一歩》を聴かせてくれて、アンコール前の最後の曲は《にじ》だった。「♪虹が空にかかって、~気分もはれて、~きっと明日はいい天気♪」と聴くといつも、そよっと風に吹かれて遠くの空を眺めている気分になる。中川さん作曲のこの曲は、楽譜にすると音階が放物線状に上下して、まさに《にじ》なのだとか。
中川さんの歌は、絵本の文にメロディが付いたみたいだ。気負わずただ聴いていれば良い。絵本の読み聞かせも、文字を追わずにぼーっと眺め聞いていればよい。シンガーソング絵本ライターという呼び方はとてもお似合いだ。
アンコールは再び元気いっぱいにgaagaaSが登場。後藤さんの超絶ギターも披露され幕を閉じた。終演後のなぎさホールには、なんとなく居残る人がたくさんいて、ギターの音色で《にじ》が優しく流れ続けていた。
ボランティアライター 深谷香
********************************************