ホール主催の催しの感想や雰囲気をみなさまに発信する活動をしている“情報発信ボランティアライター”の方によるレポートをお届けいたします。
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楽しみにしていた森公美子さんのコンサート。7月初めなのに、既に猛暑の夏再来だ。せめても心地良い音楽に触れて気持ちだけは爽やかになりたいと思い、なぎさホールに向かう。席について観客席を見渡すと、女性の方を中心に8割以上の席が既に埋まっている。余程の人気なのだろう。森さんのコンサートは初めてで、一体どんなステージになるのだろうか、ワクワク感でいっぱいだ。
前半での私のお気に入り曲“My Favorite Things”は、ピアノとサックスによる演奏。この曲の一節は、“そうだ京都に行こう”のCMに使われていたのを思い出した。ピアノの小野田享子さん、サックスのつづらのあつしさんの演奏も素晴らしいが、今日はあえて脇役に徹しているように見受けられた。
前半で好きなもう一つの曲は、“Dancing Queen”だ。有名なABBAの曲だが、森さんの歌声が良く乗っている感じ。また、歌だけでなく、つづらのさんのサックスの演奏も熱演だ。ブラボー!
今日のプログラムは、和洋織り交ぜた色んなジャンルの曲が散りばめられていて、これも吉田次郎さんのアレンジの妙なのだろう。残念ながら、今日は体調不良でお目にかかれなかったが、是非次の機会を楽しみにしたい。お大事に!
後半の最初は、これも有名なフランクシナトラの一曲“Fly Me to the Moon “。何とも言えない味わいのある曲だ。ここでも、森さんのあらゆるジャンルをまたいで幅広く音楽を紡ぐ包容力のある歌唱力が光っている。しっとり感のある曲であれ、元気の出る活発な曲であれ、はたまた演歌であれ、なんでもあれと言わんばかりだ。
吉田次郎さんの代役で出演したつづらのさんも初対面だ。コンサート後にインターネットで検索してみると、クラシックから、ジャズ、ロック、ポップス、演歌まで、ジャンルを問わないマルチアーティストだとわかった。小野田さんも同様にインターネットで調べると、多岐に渡って活躍されているのがわかる。別の機会を見つけてお二人のコンサートにも馳せ参じたいと思う。小野田さんが主役のコンサートも楽しみにしたい。
森さんのトークの中では、子供の頃に暮らしていた仙台での思い出話が面白かった。幼少の時の思い出、お母さんとの何気ない会話の一コマも、森さんの音楽を紡ぐ感性に影響しているのかもしれない。
何しろ、お笑いトークやパロディ調の替え歌ありであっという間に2時間が過ぎ去ってしまった。ああ、楽しい週末になった!次回は吉田次郎さんにもご出演を願い、また逗子市民を楽しませていただきたい。
ボランティアライター 福岡伸行
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日本屈指のヴォーカリストであり、ミュージカル俳優である森公美子さんのスペシャルコンサートは、“大災難が起きる?”と噂の立った7月5日に催されました。「何かあった時は、一緒に逃げましょう!ハッハッハッ!」とモリクミさんは豪快に笑い飛ばし、ショウ・マスト・ゴー・オン。体調不良で欠席されたギタリストの吉田次郎さんに代わり、サックス奏者のつづらのあつしさんが、ピアニストの小野田享子さんとともにモリクミさんの歌唱を支えます。
前半の2曲目は英語で《サマータイム》。オペラの突き抜ける高音で歌い出し、次第にジャズへと変調してじっくり聴かせる展開に、ヴォーカリストとしての圧倒的な技量を感じました。曲間の軽妙なトークでは、会場は常に笑いの渦で満たされました。一転して、東日本大震災後、地元宮城県石巻市の中学校を訪れ《ユー・レイズ・ミー・アップ》を日本語で歌唱した時の話では、教室全体から嗚咽が漏れるのを聴き、歌の持つ癒しの力を感じたことを涙ぐみながら語ってくれました。話の後、その曲を静かに披露してくれた時、会場にも温かい空気が流れました。映画『サウンド・オブ・ミュージック』から《My Favorite Things》を軽妙なテンポで歌いこなし、前半最後はヘヴィーでパンチの効いたアバ《ダンシング・クイーン》でにぎやかに退場。
後半の幕開けは、ライザ・ミネリも、フランク・シナトラもぶっ飛ぶほどの大迫力で《New York, New York》を熱唱。圧巻の歌唱に、歌い終わって本人は青息吐息に。その後、予定曲を飛ばすというハプニングもご愛嬌でした。ジャズに目覚めたきっかけとなった、サラ・ヴォーンの《On A Clear Day》、チャーリー・パーカーが世に知らしめた《ジャスト・フレンズ》を軽快に歌い上げ、ジャズシンガーとしての実力もさりげなく見せつけてくれました。そして25年間出演したミュージカル『レ・ミゼラブル』から《夢やぶれて》を替え歌で。“夢は50キロに痩せて、ファンティーヌになりたかった!”とファンサービスも忘れません。J-POPから尾崎亜美《オリビアを聴きながら》、高橋真梨子《あなたの空を翔びたい》。そして最後は、映画『フォーエバー・フレンズ』から《愛は翼にのって:Wind Beneath My Wings》、アンコールは《星に願いを》。
ジェットコースターのような疾走感と、おもちゃ箱をひっくり返したようなバラエティ感で、あっという間の2時間でした。モリクミさんは、サラ・ヴォーンのような魂(ソウル)と、ライザ・ミネリのようなゴージャスさと、ベット・ミドラーのような愛嬌と、そして三者にも劣らぬ歌唱力を持った、唯一無二のエンターテイナーであることを再認識したステージでした。
ボランティアライター 三浦俊哉
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