イベントレポート 「0歳からのコンサート キッズのためのはじめての音楽会」2025年8月2日(土)開催

ホール主催の催しの感想や雰囲気をみなさまに発信する活動をしている“情報発信ボランティアライター”の方によるレポートをお届けいたします

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 “激烈”な太陽の光が降り注ぐ土曜日の午前11時。キッズたちはそれでも元気に、逗子のオアシスといえる“逗子文化プラザなぎさホール”に集まりました。催されたのは、クラシック音楽界の人気ヴァイオリニスト奥村愛さんがプロデュース&演奏する「0歳から入場できる」子ども向けクラシックコンサートです(会場入口のチケットもぎりや、プログラム配布も、小学生がお手伝いしていました)。
 奥村さんともう一人のヴァイオリニストに、ヴィオラ、チェロ、ピアノ、パーカッション(ドラム)担当の計6名が、F.クライスラー《愛の喜び》などクラシックの名曲のさわりをメドレー形式で弾いてスタートしました。次に子どもたちのために楽器の紹介をすると、会場の中にはヴァイオリンを習っているおともだちが何人かいました。「弓は馬のしっぽの毛でできている」と知っている子もおり、びっくりです。
 続いての趣向は、「くま(?)」のマスコットキャラクター“おんのすけくん”が、生き物の絵を描いたフリップを会場に見せ、その生き物が何かクイズで出題し、正解した生き物にまつわる曲を演奏します。チェロとピアノでC.サン=サーンス《白鳥》、ヴィオラとピアノでC.サン=サーンス《亀》(オッフェンバックの《天国と地獄》をゆっくりとしたテンポで弾いた曲!)と、しっとり、ゆったり。ヴァイオリン2本でR.コルサコフ《熊蜂の飛行》を激しく。最後は全員で、L.アンダーソン《チキン・リール》をにぎやかに。
 合間にパーカッションの紹介や、様々な効果音を出す小さな楽器を紹介したあと、本日のメインは、P.チャイコフスキーのバレエ組曲《くるみ割り人形》。紙芝居形式で(舞台に場面=楽曲ごとの絵を用意)、3時間の大作をコンパクトに9曲20分で演奏してくれました。9曲目は有名な《花のワルツ》。ストーリーのエッセンスを盛り込んだ上で、音楽のバリエーションを考えて構成された短縮版は、大人でも贅沢な演奏でした。V.モンティ《チャールダーシュ》で格好よく劇的に締めると思いきや、ラストは「心の豊かな子どもたちに」エールを贈るという奥村さんの想いとともに、心躍るJ.シュトラウス《ラデツキー行進曲》を持ってきて、子どもも大人も楽しく手拍子で参加しました。
 最後まで、赤ちゃんから大人まで、手を抜かない本物のクラシックに触れさせたいという奥村さんの想いが凝縮された1時間、ことのほか“熱い”(過去最高の暑さを記録した)2025年夏のコンサートでした。

ボランティアライター 三浦俊哉

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