イベントレポート 「人形劇団ひとみ座 人形劇『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』」2025年12月6日(土)開催

ホール主催の催しの感想や雰囲気をみなさまに発信する活動をしている“情報発信ボランティアライター”の方によるレポートをお届けいたします

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 『銭天堂』のチラシはインパクトが強かった。大きく書かれた銭天堂の文字も紅子さんの人形も異彩を放っていた。お子さんたちが「銭天堂だぁ!」と声を弾ませるほどの人気作品だと、あとから知った。
 『銭天堂』は幸運な人だけがたどりつける、ふしぎな駄菓子屋の店名で、店主(おかみ)の紅子さんはお客様の望みが叶うような駄菓子を売る。「昭和56年の100円玉で」というように支払い硬貨を指定するのも面白い。駄菓子の効果で叶う望みも叶わぬ望みもあり、その運不運が物語られていく。原作は児童書だ。
 満席のなぎさホールに銭天堂開店でござんす。オルゴールのような音色でちょっと妖しい音楽が流れている。そのメロディーが急に大きくなったと思うとすっと消えた。場内は暗転し、不気味な猫の鳴き声と鈴の音が聞こえる。見えてきたのはざわつく教室。おさげの萌美が昔話をつかえながら音読している。クラスの音読大会に向けて班で練習しようという、えりかの誘いを慶司が断る。お父さんと釣りに行くからムリなのだそうだ。しかし釣りに行くことが叶わずふてくされる慶司。そこに銭天堂があらわれた。紅子さんから「釣りたい焼き」を買って、自分の部屋で釣りを楽しむ様子がコミカルに展開された。場面は再び教室にもどり、音読大会が始まる。音読が上手くなるジュースを飲んだおかげですらすらと昔話を読み終えた萌美に拍手が起きる。同時に拍手が湧いた客席にハッピーな気持ちになる。
 既にストーリーを知っているお子さんも多いのではないかと思うが、彼らの眼差しは目の前の物語にまっすぐに向けられていた。
 劇中に出てきたお話は『スピーチジュース』『釣りたい焼き』『怪盗ロールパン』『ヒーロー刑事(でか)プリン』。紅子のライバル、駄菓子屋「たたりめ堂」の少女“よどみ”も登場し、銭天堂の世界が凝縮されていた。各話の登場人物が関わりあうようなイメージは薄かったのだが、人形劇をみているうちに、たくさんのストーリーが同時にあちらこちらで起きていて、人も関わり合っているように思えてきた。
 「幸運に恵まれると図に乗ってしまう。幸運は気をつけないとすぐ不運に変わってしまう。」紅子さんの言葉だが、肝に銘ずるのは大人のほうだろう。
 終演後は銭天堂のセットを間近で見ようと客席前方に人が集まった。ホワイエでは、紅子さんと一緒に記念撮影をしようと長い列ができていた。
 銭天堂、今日はこれで店じまい。ありがとうござんした。

ボランティアライター 深谷香

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