ホール主催の催しの感想や雰囲気をみなさまに発信する活動をしている“情報発信ボランティアライター”の方によるレポートをお届けいたします。
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山田姉妹、活動休止前のラストステージは、開演から3時間、全43曲。その歌声が、なぎさホールいっぱいに咲きあふれた。前半は《恋のバカンス》《雨やどり》などの昭和歌謡が中心の構成。昔の有線マイクを思い出すような安定感のある歌声がストレートに向かってきた。それぞれの声質が重なると、ユニゾンもハーモニーも唯一無二の瞬間がある。
歌いながらお客様とハイタッチをしたり、向けられたスマートフォンのカメラににっこりとしたり。長年、姉妹を応援して来られたのであろう観客にまざり、私のようなビギナーにも居心地よく温かい会場だった。
興味あらたに惹かれたのが《モスラの歌》だった。ふしぎな曲だなぁときちんと聴いたことがなかったのだが、山田姉妹の真剣な歌唱に引き付けられた。調べると《モスラの歌》はインドネシア語で、その歌詞は平和を願うものだった。もう一曲、《猫の二重唱》がおもしろかった。二人が“二匹” になりきり、ミャオミャオの掛け合いだけで劇の一幕のようだった。ピアノの内門卓也さんも猫耳のカチューシャを着けて演奏していた。
後半、華さんが「本日のメインイベント」と進行したのは[もう一度聴きたい!山田姉妹のあの曲]というリクエストコーナーだ。事前に募集した曲の中から、ベスト3を歌う予定がベスト27になり嬉しい限り。「ショートに」と言いながら、一曲一曲、十分な長さを歌ってくれた。曲は《心の瞳》《2つで1つ》《Lacia chʼ io pianga(私を泣かせてください)》など。客席の通路で向かい合って歌った《故郷》が美しくハモる。いろいろな感激がまぜこぜになり、うるっときてうまく息が吸えない。
27曲を一気に歌いあげると、生まれてからともに過ごした日々や、2017年のデビューから9年間を振り返り話しはじめた。言葉の端々に“ありがとう” が籠っていた。
つづいて桐ケ谷市長から、華さんと麗さんに逗子市広報大使の委嘱状が手渡された。
アンコールが始まったころ、オペラグラスを持っていたことを思い出した。一番うしろの席から覗いた先には、前を見て一心に歌う華さんと、その横顔を何とも言えない笑顔で見つめる麗さんが見えた。私たち以上に、あと2曲、あと1曲と名残惜しかったのではなかろうか。アンコールの3曲も終わってしまった。なぎさホールを埋め尽くした観客がホワイエを埋め尽くす。サイン会が始まる。この長い列が続く限り、お二人との時間が残されている気がした。山田姉妹に幸多からんことを。
ボランティアライター 深谷香
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早々に“完売御礼”で、会場は満席。外は冷たい風が吹いても、なぎさホールは開演前から熱気が渦巻いていました。その理由の一つは、この日のコンサートが、双子のソプラノデュオ山田姉妹の、デュオとしての最後のステージだったからです。逗子出身、観光大使を務め、もはや“逗子の顔”となった二人の、最後のハモりが聴きたいと、皆から熱い想いが溢れ出していたからでしょう。地元の顔馴染みや、心の孫娘を想うシニア世代で、席が埋め尽くされていました。
オープニングは、恒例となった、二階席最後方の左右のドアからの姉妹の登場。《結婚しようよ》を歌いながら、知り合いを見つけて手を振ったり、タッチを交わして、姉の華(はな)さん、妹の麗(れい)さんがステージへ。開口一番の挨拶から、華さんは少し涙ぐんでいる様子でした。
前半は、初めてのテレビ出演で歌った《みずいろの手紙》、ザ・ピーナッツの《モスラ》《恋のバカンス》、小学校5年生の時にコンテストで賞をもらったプリンセス プリンセスの《DIAMOND(ダイアモンド)》など、昭和世代の心をつかんだヒット歌謡曲を並べてくれました。澄んだ声のハーモニーが、しみじみと心に沁みこんできました。荒井由実の《ひこうき雲》の出だしで、麗さんがめずらしく間違えて舞い上がってしまい、それをやさしく諫める華さんとのやりとりが微笑ましい一幕もありました。二人とも万感胸に迫るものがあるのだろうなと、こちらも笑いながら少しセンチな気持ちになってしまいました。初の書下ろし曲である小坂明子さんの《Starry Heart ~輝く心~》でしっとりと前半を終了しました。
後半は、オペラの名曲からスタートです。アリアだけど珍しい二重唱でプッチーニ《私のお父さん》、モーツァルト《魔笛》。《魔笛》は麗さんの4オクターブの歌唱が有名で、リクエストも多かったそうです。《アヴェ・マリア》の後は、本日のメインイベント。事前にリクエストを募った27曲をメドレーで一気に歌う趣向です。二人は、何度も衣装替えをしながら、これまでコンサートで披露してきた歌謡曲、唱歌、クラシックなどを、息乱れることなく最後まで歌い切りました。応援してくれたファンへの大・大・大サービスでした。その心意気に拍手です。デュオは休止でも、観光大使は二人そろって続けてくれるという事で、桐ケ谷逗子市長が登壇され、委嘱状の授与式も行われました。
名残惜しむファンのために、最後に二人のコンサートの終わりに定番だった3曲 ― 逗子に捧げる《この街で》、二人の代名詞《トルコ行進曲》、締めはいつもの《踊り明かそう》で本当のサヨウナラ。予定時間を50分オーバーで、お二人とも、本当にお疲れ様でした。
ボランティアライター 三浦俊哉
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