★イベントレポート 「ウィークデーマチネ 神奈川フィルハーモニー管弦楽団アンサンブル」2020年2月12日(水)開催

当ホールの情報発信ボランティアによるレポートです。イベントの雰囲気や感想を発信する活動をしています。

 続いていた寒い毎日の合間、和らいだ寒さに丸く縮んで固くなっていた背中も一休み、陽気にも助けられて足取りも軽くなる。会場に着くと、平日の午後であるにもかかわらず満席となっており、係の方が最後尾に更にもう1列椅子を足していた。
 前半はそれぞれの楽器で4曲を演奏、持ち味を十分に伝えていく。観客も驚きだったのは、クラリネットとピアノによる『インマークライナー』。こちらのタイトルはドイツ語で“だんだん小さく”という意味で、聞いて納得、演奏しているさなかにクラリネット奏者が共演者に詰め寄られ、一つ、また一つとパーツを取られて行ってしまうのだ。「短くなっても演奏はできるのか。」と目を丸くしながら聞いていると、とうとうマウスピースのみに。言い方はおかしいが、こんな悪ふざけのような曲がクラシックにも存在するとは、良い意味で裏切られた感じだ。
 休憩をはさみ、後半はアンサンブルでの演奏となる。始まりは、ヴィオラ、クラリネット、ピアノによる三重奏。3つの楽器がお話をしているように、仲良く素敵な雰囲気を創り出していく。アンサンブルのスタートにふさわしい1曲だ。
 ヴァイオリン、ヴィオラ、ピアノで演奏されたのは『愛の挨拶』。実のところ、筆者はクラシックにはあまり通じていない、タイトルだけで曲が思い浮かぶことはあまりないのだが、その甘い旋律が聞こえ始めた瞬間に、「この曲か。」と胸が高鳴った。初心者にとって知っている曲が演奏されるというのは、どういう訳か嬉しいものなのである。この曲は、作曲者のエルガーが恋人に婚約の贈り物として作ったというもの。こんなに素敵な贈り物が他にあるだろうか。羨ましさのあまり、溜息をついてしまう。
 後半の全4曲が終わると、ホールの中いっぱいに拍手が鳴り響き、アンコール『花は咲く』で終了。
 経験が浅いがゆえ、クラシックコンサートには若干の気後れを感じるのだが、だからこそ、踏み入れた時に非日常を体験できる場でもある。そして、“いつもとは違う”世界に触れることで何かを得たような、一つ上の気分を味わうことができる。聞いたことがある曲が増えたら、もっと楽しくなるのかもしれない、じっくり聞いたことのない楽器だってまだまだたくさんある、今日の公演がこれからの後押しをしてくれたようだ。

ボランティアライター 佐々木 安弥