★イベントレポート「森麻季 ソプラノ・リサイタル」2016年6月18日(土)開催

 

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当ホールの情報発信ボランティアによるレポートです。イベントの雰囲気や感想を発信する活動をしています。

 オペラ歌手・森麻季さんソプラノ・リサイタルのチケットは完売で満席!
 前半はやわらかなピンクベージュ、後半は南国の海のようなライトブルーのロングドレス。歌劇《ロミオとジュリエット》より“私は夢に生きたい”で幕が開ける。イタリア語はおしゃべりも歌っているように聴こえる言語だという。そのイタリア語で歌われるオペラアリアである。ピアノ伴奏の山岸茂人さんによるピアノ・ソロ、ドビュッシーの《月の光》は眠りを誘う曲だ。クラシックは眠くなるのがいい演奏と聞いたことがある。脳にアルファー波が出るためらしい。
 バッハ/グノーの《アヴェ・マリア》に続けて、マスカーニの《アヴェ・マリア》、逗子文化プラザホールが教会の礼拝堂になったようだ。マリアさまが私たちのために祈って下さり、許しを与えてくれた気がした。なにか尊いものを感じ、涙があふれた。NHK東日本大震災復興支援ソング《花は咲く》。“いまは苦しくても、いつか必ず花は咲く”希望の歌。「みなさんの心に花が咲きますように、心をこめて歌わせていただきます」という森さんの言葉が印象的だった。このシンプルな歌詞に込められた本当の意味がいまはよくわかる。
 ほかにも山田耕作の《この道》、《からたちの花》などの日本の名曲も歌われた。美の極みと、天上の音楽にふれた一日だった。

ボランティアライター 中川 晶子

 

 満席のなぎさホール。500人以上の視線がステージ 上に集中する。その視線の先に、長い髪をふわふわっとさせながら、ピンクベージュ色のドレスで、森麻季さんが登場した。ピアノの前奏に合わせて左右に揺れリズムをとると、もう華やかな雰囲気になった。曲は歌劇《ロミオとジュリエット》より“私は夢に生きたい”。演奏が終わるとものすごい拍手が起きた。笑顔でステージを後にすると、客席は称賛でざわめいた。続いて山岸茂人さんのピアノソロでドビュッシー《月の光》が演奏された。いつか見た月を思い出しながら、どこか悲しいけれど魅惑的なメロディーに聴き入る。再び森さんの登場。《アヴェ・マリア》(グノー作曲・マスカーニ作曲)を続けて2曲。美しい所作で、歌いだす前に胸元で十字をきった。
 外国語の曲では、森さんが演奏前に日本語訳を読み、「楽しく歌います。」とか「絶望して歌います。」など、どんな感じかをお話しして下さるので、初めて聞く曲も知っている曲と同じような昂揚感で聞くことができた。
 休憩中に近くにいらした方が、「日本歌曲が上手で涙が出ちゃう。」と話されていた。《この道》と《からたちの花》のことだろう。私も《花は咲く》を聴いたとき♪真っ白な雪道に春風香る♪とはじまると、歌詞のひとことひとことが丁寧に届けられてくるように感じて、自然に祈るような気持ちになった。「心を込めて歌います。」そうおっしゃっていたけれど、こんな風に届いてくるのかと思った。
 アンコールも素晴らしかった。歌劇《リナルド》より“私を泣かせてください”。そして《ラ・ボエーム》より“ムゼッタのワルツ”。やはり森麻季さんのムゼッタが好きだ。自信たっぷりで挑発的な曲のなかにも、面倒見がよくて心優しいムゼッタが伺える。
今回のプログラムは私にとってなじみのある曲が多く、いつも以上に、時間がたつのが早かった。17曲、どれも素晴らしく、たっぷり聴かせて頂いた。

ボランティアライター 深谷 香