★イベントレポート「平田耕治 TANGO CONCERT 2016」2016年9月17日(土)開催

 

レポート

 

 

 

 

 

 

 

 

当ホールの情報発信ボランティアによるレポートです。イベントの雰囲気や感想を発信する活動をしています。

 

真っ暗な舞台。青白いライトが4つの楽器を浮かび上がらせる。突然かき鳴らされる激しい音。抱き合う男女にスポットライトが当たり、悩ましく踊り始める――日本屈指のバンドネオン奏者(アコーディオンの鍵盤部分がボタンに替わった楽器)平田耕治のタンゴ・コンサートは、いきなり、刺激的に始まった。アルゼンチン・タンゴのメロディーは、激しく情熱的だが、どこか物悲しい。そして、ピアノ(金益研二)、ヴァイオリン(鈴木慶子)、コントラバス(田中伸司)のアンサンブルは、音が溶け合うというより、ぶつかり合い、それぞれが主張して、初めは耳が痛くなる程だ。全21曲の中には、軽やかなヨーロッパ(コンチネンタル)・タンゴや久石譲「風の通り道」(映画『となりのトトロ』より)と、変化球もあり、緩急が効いた構成。曲ごとに変わる照明は、場末の酒場、薄暗い舗道などをイメージさせ、雰囲気を盛り上げる。そして、なんといっても、本場のダンサー、エンリケ&カロリーナのダンスが素晴らしい。長い脚が絡み合い、時に官能的、時にダイナミックな動きは、目にも強烈にタンゴの情熱を焼き付けてくれた。アンコールは定番の「ラ・クンパルシータ」。お馴染みのメロディーに、あちこちで、観客の上半身が揺れ始めたのだった。

ボランティアライター 三浦俊哉