★イベントレポート「なぎさブラスゾリステンコンサート 第14回」2018年11月27日(火)開催

深谷様 長坂様

当ホールの情報発信ボランティアによるレポートです。イベントの雰囲気や感想を発信する活動をしています。

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【なぎさブラス】との出会いは3年前の夏。開館10周年の企画、《逗子ダンス》に参加したときに、彼らの音楽に合わせて振付けを練習した。一瞬で夏の太陽と海風にワープできるような軽快な曲で、どんなソリストの集まりなのか気になっていた。プログラムの表紙は公演のチラシと同じで、赤と黒のコントラストが美しく、ホールの座席で撮影されたもの。皆さん、リラックスした笑顔だ。

 リーダーの神代修さんは、ホールには建設計画の頃から携わり、記念事業として「日本一のブラスアンサンブルをここで!」と、このチームを作られたそうだ。メンバーは皆、楽団の首席奏者など金管打トップ奏者なので、スケジュールの調整が難しいようだ。なぎさブラスが実現する日=都響もN響も読響も新日フィルも公演がない日ということになるのだろう。

 音楽もお話も、聞けば聞くほど魅力が膨らんでいく。コンサートの企画は、提案⇔却下を繰り返すそうだが、ボツになった企画も面白そうだ。そこかしこに隠れ企画が仕込まれているのではないだろうかと思ってしまう。たとえば、竹島悟史さんのコーナー『サトシの部屋』で、神代さんが演奏した《ポンテベッキオ》はイタリアにある古い橋の名前だ。あるオペラでは若者の恋がらみで出てくる場所だ。その後に演奏された《ロミオとジュリエット》とはイタリアつながり。さらに作曲者は八木澤教司さん。サトシつながりだ!《ロミオとジュリエット》《ウエスト・サイド・ストーリー》の恋に悩む若者というテーマにもつながる。

 演奏の話をすると、《ポンテベッキオ》は素敵な曲だった。嚠喨と鳴りわたるトランペットと竹島さんのピアノ演奏を聴いていると、夕刻にかけて変わりゆく空を背景に、しばらくフィレンツェの橋を眺めているような気分だった。

 また、吉永雅人さんのソロ・ホルン演奏《森にて》を聴いたときは、音で遠近感を感じた。音の強弱でも大小でもない、遠近だ。足下の草木と鬱蒼とした向こうの方との距離感が、まるで森だった。

 《ウエスト・サイド・ストーリー》は、物語に沿ってほとんどのシーンの曲が演奏された。指を鳴らしたり、「Mambo!」と掛け声をかけたりする場面もあり、ミュージカルっぽく演出されていた。

 真面目な音楽を遊び心でラッピングしたようなコンサートだ。次はいつになるのだろう。次回と次々回の『サトシの部屋』のお客様も決まっているようだ。

情報発信ボランティアライター 深谷香

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 ゾリステンのブラスサウンド満喫の公演でした。オープニングに相応しい演奏に続いて、皆が待ち望む“サトシの部屋”が胸を満たす。

 今年のゾリステンは、ブラスバンドの原点・初心に立ち返るかのようなスリムなパフォーマンスに満ち溢れていました。プログラムにもサウンドにも、ゾリステンの新しいパフォーマンス。キリリと引き締まる黒衣装のスタイリッシュ・ゾリステン。本当に有り難いブラスバンドであることを再確認。

 プログラム前半は、ソリストによるブラスサウンドの存分な紹介を受けました。聴衆は、サウンドに“慶び”、メンバー個人の力量に“圧倒”されました。ホルンはじめ金管独奏楽曲からニノ・ロータ作品・映画のテーマを和田薫氏によるアレンジでイタリア・ヴェローナ風で楽しみました。

 中休み後は、ソロからアンサンブル・サウンドへ移行。司会・進行の池上氏トークに導かれて会場は、まるでブロードウェイ。ミュージカルのワン・シーンごとの全てをブラスバンドが表現。聴衆の多くは、ゾリステンのホール結成時から“ごひいき”の方ばかり。であろうとも・なかろうとも一期一会に徹するカジュアル・ゾリステンのホスピタリティ。

 檀上の景色は、晩秋逗子のハーフ・マイル・ビーチに金管楽器奏者10人が沖に立ち向かい、潮騒のように音色を奏で、ビートとリズムは、1人の打楽器奏者が担当する。ビーチ小屋には、12人目のゾリステンが、渚・さざ波の音を演出する。それが、2005年逗子文化プラザホールと共に結成・誕生した“なぎさブラスゾリステン”。新年の演奏会プログラムへの熱い想いをも織り込ませた、成長し続けるブラスバンドの定期コンサートでした。

情報発信ボランティアライター 長坂祐司