登壇者トーク:セッション4 「これからの20年」

登壇者:逗子名曲鑑賞会 事務局 倉田 雅行 様

セッション4:倉田様

皆さんのお話をうかがい、逗子での文化がずっと受け継がれてきたのだと、あらためて感じました。私自身はまだ新参者ですが、その流れを途切れさせないことが役目だと思っています。

この会は、故・山本勝哉さんが「クラシックを通じて、このホールを文化活動の拠点に」という思いで始められました。その意思を継いで、私が引き継いでから4年。特徴は年4回の定期公演を、逗子・葉山ゆかりのプロ奏者で行うこと。そして、4公演通し(6,000円/1公演あたり1,500円)を基本にしていることです。通しでご参加いただくと、「せっかくなら今まで聴かなかった曲にも挑戦してみよう」という気持ちが生まれます。実際、各回およそ300人にお越しいただき、延べ60名以上の一流奏者にご出演いただきました。運営の手間は私たちが引き受け、演奏家の皆さんには演奏に集中してもらう。そのうえで、プログラムは有名曲だけに寄せすぎない。演奏家が本当に演奏したい作品にも光を当てる、年4回の通し公演だからこそ実現できるラインナップです。これを可能にしているのは、継続的に使えるホールの存在とご協力あってのこと。1回勝負ではなく、四季のリズムで聴衆を育てられるのはこの場所ならではと感じます。

一方で、課題は情報の届き方です。広報掲出や回覧、新聞広告、ポスティングなど、できる限りやっていますが、まだ届いていない方がいるはず。提案として、駅前(逗子・逗子葉山など)に文化プラザの告知スペースを常設できないか、そして鎌倉・横須賀エリアとの情報連携を強められないか、行政とホールにお力添えをお願いしたいです。稼働率は誇れる水準ですが、次に目指すべきは来場者数の厚みだと思います。もう一つ、「こんな使い方ができます」事例の見える化も大事です。たとえば、先日開催された素敵なお誕生日コンサートなどの具体例が見えると、 「自分もやってみよう」が広がります。

さらに、主催者同士の横のつながりを強くするために、年2回の名刺交換会(情報交換会)を文化プラザ主導で開けたら理想的です。チラシの相互配架や共同広報、ノウハウ共有が進み、街全体の文化の底上げにつながるはずです。クラシックを“特別な日”だけの音楽にせず、逗子の日常にしていく。そのために、私たちはこれからも続けます。次の四季も、ホールでお会いしましょう。

                         第1回チラシ(2022年度)                             第2回チラシ(2023年度)

                       第3回チラシ(2024年度)                                第4回チラシ(2025年度)

 

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登壇者:湘南ユースオーケストラ事務局 池田 泰子 様

セッション4:池田様

湘南ユースオーケストラは、逗子を中心に活動を続けて今年で35年。10歳から25歳までの若者が所属する、逗子で唯一のオーケストラです。私は、このホールのオープニング実行委員としても関わってきましたので、今日は少し昔話も交えてお話しします。ホールの設計段階、当時市議だった松本寛さんが「専門家の声を聞かないととんでもないホールができてしまう」と立ち上げたのが「逗子文化ホールを考える会」。N響の前澤均先生(第一ヴァイオリン奏者)とともに市に何度も要望を出しました。合唱団もオーケストラも乗れる舞台の広さ、きちんと選定されたピアノ。これらは全てその時の働きかけで実現したものです。あのピアノの音が今も愛されているのは、本当にうれしいことです。

開館直後には、「逗子在住音楽家たちによるガラコンサート」、翌年には市民によるニューイヤーコンサートが行われ、舞台にはフルオーケストラと合唱団が並びました。その後は2009 年まで続きましたが、運営の難しさや予算の制約もあり、残念ながら3回で幕を閉じました。また2007年からは、私は、若い演奏家たちの発表の場としてホールでコンサートを企画し続けてきました。最初は「キャンセルになった公演の舞台を埋めるだけ」のつもりだったものが、若者たちの情熱で9回まで続きました。前澤先生が「音大では演奏は教えるけれどコンサートのつくり方は教えない。君が教えてあげて」と言ってくださと言ってくださったことがきっかけです。回を重ねるごとに、学生たちが自分たちで企画・運営するようになったのは、まさに成長の証でした。

現在の湘南ユースオーケストラは、団員が約35名。少子化や生活スタイルの変化でクラシックを志す子どもが減っています。練習に数人しか来られない日もあり、残念ながら2026年5月5日の公演をもってユースとしての活動を終了することにしました。しかし終わりではありません。昨年の市制70周年記念「第九」演奏会には、合唱団120人、オーケストラ85人が集まりました。あの熱気と感動を次につなげたい。これからは年齢を問わず参加できる市民オーケストラとして再出発します。前澤先生の指導のもと、音楽を愛するすべての人が集える場に――。「市民だからこそできる大きなこと」を、この逗子文化プラザホールから再び生み出していきたいと思います。

         湘南ユースオーケストラ 公演チラシ

公演の様子

 

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